AB!

AB!のヒナゆいに目覚めた。萌える。あの二人は！
たまらん…。
特にユイが好き。以下追記でひなユイ小説。

「お、ユイの声だ」

なんてことのない声で、隣に居る音無が呟く。
飯時の昼休み、奪った食券で昼食後なんとなく中庭にいた。
ああ、本当だ。あいつの声がいつもと少し違う、歌うときの声が響いている。

「最近熱心だよな、あいつ」

ユイの歌声に耳を傾けながら、音無が自販機でコーヒーを買う。


「音無……お前、三つも飲むのか？」

「いや、ユイの分だよ」

「お前、そんなこと女子全員？」

音無はまさか、といってこちらに微笑む。

「あいつ、頑張ってるからさ。たまには休息も必要だろ？」

「……ふーん」

音無は自分のコーヒを飲み終えると、そのまま音楽室への階段へ向かうようだ。
俺が追ってこないのに気が付いたのか、こちらを振り返る。


「日向は？行かないのか」

「俺のガラじゃねーよ。それに、あいつは俺が行ったら絶対素直に受けとらねー、自身もって言える」

「そうか？」

「あぁ、お前が行ってやれ」

音無もそれ以上話し合う気はないのか、了解と言ってそのまま上へ上がっていった。

しばらく、そこに居座っているとユイの歌声が止まる。

今頃、音無が部屋に入っているんだろう。

あいつは、話を聞くのがうまい。

ユイもさぞかしご満悦だろうな、これは。

あぁ、でもなんか……。


「日向君何やってるの？」

「うぉっゆりっぺ！」

いつのまに立っていたのか、ゆりっぺが腕を組んでこちらを見ている。

「そんなに驚くことないじゃない、失礼ね」

「いや、ちょっと考え事をな」

「……何、いやなことでもあったの？」

「何で」

思わず、真顔になってしまった。

いやなこと？なんでそんな話題に話が向かうんだ？

「だって、あなた今ひどい顔してたわよ。すっごくいやなもの見る目つきになってた」

ゆりっぺは俺の眉に指を突きつける。

「気のせいだよ」

「ふーん、まぁいいけど。そうだ、音無君は？ちょっと用事があるんだけど」

「あいつなら、今ユイといる」

「……」

「何？」


ゆりっぺは、意味ありげな瞳でこちらを見た後に、すぐさまにやけた。


「なっなんだよ！」

「あぁ、なるほど。そーいう事ぉ」

とてもおもしろいものを見つけた、という顔でこちらを見る。

「何だよ、その顔は」

「別にぃ？何よ、それならそうと言ってくれればよかったのに」

「はぁ？ゆりっぺ何の話をしてるんだよいったい」
　
ゆりっぺは、俺の顔をもう一度見つめると目を見開いた。

「あなた、気が付いてないの？」

「だから、何なんだよ！」

「へぇ、相当鈍いのね日向君って」

「だから一体っ」

「ゆり？何やってるんだ」

「あーっユリ先輩！」

思わず怒鳴りかけた俺を、音無とユイの声が遮る。

振り返ると、そこには空になったコーヒ缶を持っているユイと音無が立っていた。

気が付かなかった。

「あぁ、音無君丁度よかった今度の作戦で話したいことがあるのよ、ちょっと来て」

「俺は構わないけど、日向と話してたんじゃないのか？」

「構わないわ」


ゆりっぺは、一度肩ごしに振り返るとふっと笑った。


「一応警告しておくけど、あんまり鈍いととられちゃうわよ？日向君」

「なっ」

反論する暇もなく、ゆりっぺは音無を引きずってそのまま、校舎へ消えてしまった。

「ん、だよ……ゆりっぺのやつ」

「どうしたんですか？先輩。取られるって、なんか取られちゃったんですか？」


突然、目の前から声が聞こえて思わず飛びのく。

そうだ、ユイも音無と降りてきてたんだ。


「お前に関係ない話だよ」

思わず、ぶっきらぼうに返答する。

あ、ちょっと今のはきつかったかも。


「別に、先輩の話にそこまで興味ないですけど」


前言撤回




＊後編に続く＊